中村好文さんデザインのもの(5 items)


中村好文

1948年千葉県生まれ。建築家。
1972年、武蔵野美術大学建築学科卒業。宍道建築設計事務所勤務後、都立品川職業訓練校木工科で学ぶ。
吉村順三設計事務所を経て、81年、設計事務所レミングハウスを設立。87年『三谷さんの家』で第一回吉岡賞受賞。93年『一連の住宅作品』で第18回吉田五十八賞特別賞を受賞。 主な著書に『住宅巡礼』、『意中の建築/上下』(新潮社)、『パン屋の手紙』(筑摩書房)、『暮らしを旅する』(KKベストセラーズ)、『百戦錬磨の台所』(学芸出版)などがある。


「nounours books」
ROOM STORY   side a / side b

  • 中村好文 正座椅子 Za

    10,780円(9,800円+税)/台

    • 商品説明



      『Za』 について

      高校時代の3年間、ぼくは陸上競技部に属していました。
      種目は「棒高跳び」で、来る日も来る日も、放課後は長さ4メートルのポールを捧げて、走っては跳び、走っては跳びしていました。その当時、試合に出れば棒高跳びの着地ピットにウレタンフォームの切れ端が小山のように積まれていて、選手が4メートル前後の高さから落ちても脚や腰を痛めないようになっていましたが、母校のグラウンドにはもちろんそんなシャレたなものはなく、ピットはただの「砂場」でした。練習の手始めは少しでも着地のショックを軽くするために、まずこの砂場を「耕して」ふかふかにしておくことでした。走っては跳び、走っては跳び、と書きましたが、言い方をかえると、跳んでは落ち、跳んでは落ちということです。ウレタンのピットなら背中から落ちるようにして脚と腰の負担を減らすことができるのですが、なにしろ砂場ですからそうもいきません。着地すると同時に体を丸めて背後にコロンと転がる一種の「受け身」をとって脚部への負担を減らすようにしていました。
      そして時は流れて幾年月、50代に差し掛かるころからぼくは膝に疾患が出てきてだんだん正座したり、あぐらをかいたりしにくくなってきました。どうやら高校時代の「砂場着地」のツケが回ってきたらしいのです。そして、ついには蕎麦屋に入っても小上がりに案内されたりすると、尻込みするようになってしまいました。
      いちばん困るのは韓国旅行の折の食事で、韓国料理はほとんど床に直接座って食べる床座式ですから、韓流の食事が好きなぼくには、これが辛いのです。韓国の田舎を旅していたときなど自宅の一部を食堂にしているおばさん(アジュマ)が風呂場で使っているプラスチックの小椅子を持ってきて座らせてくれたこともありました。
       …という悩みを抱えていたのですが、あるとき茶道の稽古に通っている妻が「お座敷でお茶の稽古をするのは楽しいけど、足が痺れて辛くてねぇ」と呟きました。
      この瞬間、正座が辛いのはぼくだけではなかったことに気づいたぼくは、自分に果たされたミッションをはっきり悟ったのです。
      おそらく「正座苦痛人口」は日本の人口の半分、もしくは3分の2ぐらいになるのではないかと推察されます。そして、この人たちの痺れの苦痛を少しでも緩和し、正座から立ち上がりやすくするためにも、まずは、ぼくが「立ち上がらなければ」と思い、さっそく正座補助具のデザインに着手したのでした。
       そして、刻苦精励の結果、めでたし、めでたし、ようやく完成したのが、成形合板で作ったこの小さなスツールです。Zの文字が正座しつつちょっと腰を浮かしたように見えることから『Za』(座)と名付けました。
      さあ、みなさん、お尻の下にそっと『Za』を忍ばせて、背筋を伸ばし、涼しい顔で正座しようではありませんか。
      中村好文(建築家)


      工房より直接発送のため、送料込みの価格です。ヤマト運輸でお送りします。
      正座椅子 Za
      商品代8,000円+税と送料全国一律1,800円+税の合計価格です。

      他の商品と一緒にご注文の場合、こちらの商品代金を除いての送料計算となります。
      (税抜5,000円以上お買い上げの場合、全国一律送料無料です)
  • 中村好文 竹トング KOPPO S

    5,500円(5,000円+税)/個

    • 商品説明



      『KOPPO S』について

      2012年の晩秋、四国・高松の玉藻公園と女木島を会場にした「瀬戸内生活工芸祭」が開かれました。
      毎年、松本で開かれる「クラフト・フェア」はつとに有名ですが、その高松版のような催しだったとお考えください。
      このときぼくは、三谷龍二さんや、皆川明さんや、石村由起子さんたちと一緒に出展者を選抜する選考委員を務めさせてもらいました。
      また、ぼくはゲスト出展者の一人でもあったので、二日間の会期中はふたつの会場を行ったり来たりしながら何度も会場を巡り歩いて過ごしました。
      最初に玉藻公園の会場を下見的にひと巡りしていたとき目につき、心惹かれたブースのひとつが、高知で竹炭を作っている下本一歩(しももとかずほ)さんのブースでした。ぼくはブースの前に佇んで竹製の作品をひとつひとつ手にしながら、下本さんとお喋りをしましたが、そのお喋りの合間に、ふと「もしかしたらこの若い作家なら」と、脳裏に閃いたことがありました。
      …と書いたところで、ちょっと話が横道にそれます。
      ぼくの事務所は40年近く昼食をスタッフと一緒に作って食べています。いわゆる「賄い料理」ですが、一人ずつ盛り付けをする手間ヒマを惜しんで、大きな器に盛り付けてテーブルの真ん中にド〜ンと置き、銘々が取り分けて食べるようにしています。この方法を「相撲部屋方式」または「ちゃんこ鍋方式」と呼んでいます。
      この方式には大きな器が必要ですが、ぼくの事務所で頻繁に登場する器は三谷龍二さんの作品で、長さ約72センチの舟型の器と、ひと抱えもある大きな木の器です。この器にパスタなどを盛り付けるのですが、取り分ける時に金属製のトングを使うと黒漆で仕上げた器の表面を金物で引っ掻くことになりますから、取り分け用の木製のサラダサーバーを使っていました。ただ、このサーバーは両手を使わなければならないことと、パスタを「ぐっと掴む」ことができないことで、ちょっとしたストレスを感じていました。
      じつは下本さんとの会話の途中の「ふと」と「もしかしたら」はこのことで、「下本さんなら木の器にも優しく馴染む竹製のトングを作ることができるかも…」と閃いたのです。そして、さっそくこのことを話すと、下本さんからひと呼吸おいて「やってみたいですね」という嬉しい言葉が返ってきました。
      高松から東京に戻るやいなや、小物のデザインにかけては抜群のセンスと能力を発揮するスタッフ(須藤直美といいます)と一緒にデザインに取り組み、何種類も原寸サイズで模型を作って検討したり、下本さんにいくつも試作品を作ってもらったりして、半年後ぐらいに最終的なデザインが決まりました。
      今年の「冬の贈り物」にはこの『竹トング』を選びましたが、こんな小さな生活雑貨の背後にも人と人との出会いの物語があり、暮らしの情景があることに想いを馳せていただけたら嬉しいです。
      中村好文(建築家)
  • 中村好文 折りたたみテーブル PATAN

    146,740円(133,400円+税)~/台

    • 商品説明

      「マンションの小さなテラスにちょうどいいテーブルはないでしょうか?」と好文さんにお伝えしたら「少々お待ちを…」というお返事。
      まもなく、このテーブルをご提案くださいました。
      とてもコンパクトに収納でき、「ここぞ」というときに簡単に組み立てられるPATAN。
      急にたくさんの人が集まる時にリビングルームでも大活躍です。

      『PATAN』について

      ぼくは20代後半から30代の初めにかけて建築家・吉村順三先生
      (師匠なのでこう呼ばせてもらいます)の下で、家具デザインの仕事をしていました。
      吉村先生は「からくり的」な機構を備えた折りたたみ式の家具(folding furniture)がお好きで、若いころからいくつもデザインしていたそうですが、70歳に手が届くころになって、吉村順三スタイルの折りたたみ椅子の「決定版」を作りたいと考えたのではないかと思います。
      そんな折だったからでしょうね、入所志願の手紙に「吉村先生の下で家具デザインを学びたい」と書いたぼくは設計事務所としては超・狭き門と噂されていた吉村設計事務所に運よく入所することができました。
      吉村設計事務所に勤務していた3年半は、来る日も来る日も折りたたみ椅子のデザインに没頭していましたが、事務所を辞めて独立してからも吉村先生と一緒に家具デザインの仕事を続けていました。
      「たためる椅子」という名の折りたたみ椅子は、独立後に吉村先生と木工作家の丸谷芳正さんとぼくの三人で協働でデザイン・製作して『八ヶ岳高原音楽堂』に納入したものです。
      その後、この椅子は一般の人たちも購入できるようになり、知る人ぞ知るロングセラーの名作(自分で言うのもなんですが)ですから、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
      ところで、そうした経歴のせいばかりではありませんが、ぼく自身も建築の細部や、家具デザインに、仕掛けや、仕組みの工夫を凝らしたりすることが少なくありません。
      あっさり言えばそういう「遊び」が「好き」なんでしょうね。
      というわけで、このたび「冬の贈り物」でご紹介する丸テーブルも簡単な仕組みの折りたたみ式(正確には分解・組み立て式ということになるかもしれません)です。
      テラスや庭の木陰でお茶のひとときをたのしんだり、食事をしたりするときに手軽に持ち出し、簡単に組み立てて使えるようにデザインしました。
      じつはこのタイプのテーブルをぼくはこれまでにいくつもデザインしてきました。主に高さが30~50センチぐらいまでのローテーブルでしたが、今回は食卓でも使える高さにしてあります。
      サイズは2種類あります。
      PATAN-6(パタン・シックス)は、直径60cm×高さ60cm、
      PATAN-9(パタン・ナイン)は、直径90cm×高さ65cm。
      テーブルトップの素材はフィンランド・バーチで、ウレタン塗装仕上です。
      余談ですが、PATAN-9は、場合によっては「パタン・キュー」と呼んでもらっても結構です。
      呼び名はともかく、大切なのはこのPATAN をご自宅のテラスか庭に置いて存分に活用していただくこと。その一点につきます。

      中村好文(建築家)


      工房より直接発送のため、送料込みの価格です。ヤマト運輸でお送りします。
      PATAN-6(パタン・シックス)
      商品代130,000円+税と送料全国一律3,400円+税の合計価格、
      PATAN-9(パタン・ナイン)
      商品代160,000円+税と送料全国一律6,300円+税の合計価格です。

      他の商品と一緒にご注文の場合、こちらの商品代金を除いての送料計算となります。
      (税抜5,000円以上お買い上げの場合、全国一律送料無料です)
  • お裁縫箱 MEME(メメ)

    63,250円(57,500円+税)/個

    • 商品説明


      建築家の中村好文さんがデザインし、木工作家の青柳勲さんが製作したお裁縫箱です。

      以下、中村好文さんのメッセージです。

      この裁縫箱のオリジナル版は、中村が10年ほど前、テキスタイルデザイナーの真木千秋さんのためにデザインし、木工家の奥田忠彦さんが数量限定で製作したものですが、CHECK&STRIPEのたってのご要望により、そのスタンダード版のMEMEを製作し、CHECK&STRIPEの商品として販売することになりました。「MEME」というのは、フランス語で「おばあちゃん」という意味です。この愛称は、この裁縫箱を、祖母から母へ、母から娘へと大切に受け継いでいってほしいという願いから名付けました。

      さて、ここからはお願いです。
      MEMEは合板ではなく、ブラックウォルナットの無垢材で作られています。無垢材であること、繊細な造りであること、また、木肌の手触りを感じていただくために自然塗料で仕上げているため、温度や湿度の変化に敏感です。ストーブの近くや、陽の当たる場所、湿気の多いところに置いておきますと蓋がスライドしにくくなったりします。また、季節によっても蓋が少し固く感じられることがあるかもしれませんので、ご了承ください。

      材料は充分に吟味してありますが、自然素材なので、エアコンの温風などで急激に乾燥させたりすると、ヒビ割れが生じることがありますので、ご注意下さい。汚れは固く絞った布で拭いた後、渇いた布で湿気を拭き取って下さい。
      MEMEが皆さまの裁縫仕事になくてはならない相棒となり、愛用されて末永く使い継がれますよう、心よりお祈りいたします。

      中村好文 青柳勲
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